テレビの画面が赤ちゃんに与える影響はどの程度のものだと思いますか?
テレビやDVD,ゲームといった画面は、普段、私達は無意識に見ていると思います。
ですが実は、自然の景色や色彩と比べて人工的に作られた画面は視覚の刺激がとても強いのです。
特に、その音と光は赤ちゃんや幼児の興味を強く引き付けるのです。
そしてその内容についても、多くの視聴者なり利用者を対象に作られています。
少数より多数にウケることが重要な内容に作られています。
子供の個性を尊重すると言いながら…
私は、今は昔と比べて「個性」なり「個人差」に応じた育児が大切だとか、多様化する家庭の事情に応じた無理ない育児が尊重される傾向にあると思います。
しかしながらテレビを見ることによって、子供…だけでなく親たちの、嗜好なり善悪なりの価値観がテレビの内容の画一性に簡単に引っ張られているように感じます。
例えば幼児番組で登場するキャラクターがドーナツを食べていれば子供達はそれまで知らなかったドーナツに憧れを抱いて食べたくなったりします。
トイレに行ってオシッコをする場面を見れば、子供は急に、キャラクターの真似をして自らトイレに行きたがってくれたりすることもあります。
それも、親がトイレで用をたす教育をする前に、です。
この状況は、親としては手をかけずに、テレビが子供をトイレでオシッコをするように誘導してくれて有難いものです。
教育法や育児法の手段としてキャラクターの真似をすることが期待されているわけです。
一方また、卵や小麦粉にアレルギーがありドーナツが食べられないお子さんにとっては、その放送はそのお子さん個人に適する内容ではなかったということになります。
テレビを見ている時間は、脳も心も成長段階にある子供達が、その子がまだ知らない情報や知識や思考が、一方的に注ぎ込まれているのです。
つまり双方向性が無く“受け身”であり“影響されて”いる時間であり、それが良い面もあれば悪い面もあるという視点を親として常に意識しておくべきと思います。
テレビを見る時間を制限して減らしていく方法
乳幼児期のテレビ依存が強いと、その子が児童期に成長すると益々テレビから離れられなくなってしまうとご心配の方もいらっしゃるでしょう。
そこで、テレビの視聴時間を減らしていくためには以下の方法を試してみましょう。
- 視聴時間を1日1時間にする。
- 授乳や食事の時間はテレビを消す。
注意力が散漫な子になると言われます。
- だらだら見続けないよう、見る番組を決める。
- テレビを見ない日を作る。
- つけっぱなしを避ける。
特に赤ちゃんにはテレビの音と光は刺激が強すぎます。
- 親も我慢する。
最後の「親も我慢する」ですが、実はこれがとても難しいことだと思います。
テレビで育った親たちにとってもテレビは生活に無くてはならないものであり、そんな親達はテレビなどのメディアが子供達に与える影響、接触時間の多さに鈍感になっています。
いまや、赤ちゃんを迎える心の準備の一つとして、「赤ちゃんが生まれたら好きなテレビも見られなくなる、ゲームも控えなきゃ!」と覚悟をした方はどれだけいらっしゃるでしょうか。
赤ちゃんにとって、スマートフォン(スマホ)を操作する親の姿はもう当たり前の自然の姿だと思います。
また、幼稚園や小学校の運動会や保護者会の場や、電車等の公共交通機関の車内で、飽きてしまったり動き回ろうとする乳幼児にスマホでYouTubeを見せている親子の姿は珍しくなくなりました。
私は小児科の診察中に、機嫌を損ねて泣き叫ぶ娘が私と医師との会話を聞こえなくさせていたため、その医師が手際よくタブレットでアンパンマンの映像を娘に見せ静かにさせ診察を進めました。
初めてのことに驚きましたが、これも普通になってきたそうです。
大人がこれだけテレビメディアを生活の必需品として利用しているのですから、子供のためだからとテレビを見ないようにすることはとても難しいことですね。
何しろ気象情報も政治経済情報も、スポーツ情報も、生活する上では重要です。
その情報を伝えてくれるテレビを見ないことは、不安を抱くことにもなるでしょう。
しかし、毎日毎日、膨大な量の情報が溢れているわけですから大部分の情報は取り入れなくても大丈夫なものです。
思い切って無駄な情報をシャットアウトすると意外とスッキリするものですよ。