
みなさんは「ビットコイン」という言葉を聞くと、いったいいくらぐらいをイメージしますか?最近では何百万円という価格で取引されているビットコインですが、実は誕生当時、明確な価格すら存在しなかったんです。
2009年に産声を上げたビットコインは、当時はごく一部の技術者たちの間でひっそりと取引されているだけでした。今回は、ビットコインがどのようにして価値を持つようになったのか、その歴史をご紹介します。
価格が付いていなかった?誕生から最初の価格までの道のり
ビットコインが初めて価格というものを持ったのは、誕生からおよそ9ヶ月後の2009年10月5日のことでした。ある技術者が運営していた「New Liberty Standard」というサイトで、マイニング(ビットコインを採掘すること)にかかる電気代から計算された交換レートが示されたんです。その価格がなんと「1ビットコイン=約0.07円」。今から考えると信じられない安さですよね。
ただし、これはあくまで非公式な価格でした。当時はまだ、法定通貨(円やドルなど)と交換できる市場や取引所が存在していなかったため、実際の取引はほとんど行われていなかったのです。
伝説の「ピザ」取引から本格的な取引所開設へ
ビットコインの歴史の中で最も有名な出来事と言えば、2010年5月22日に行われた「ピザ取引」でしょう。フロリダ州に住むプログラマーのラズロ・ハニエツさんが、オンラインフォーラムで「ピザ2枚と引き換えに1万ビットコインを払います」と投稿したのです。
当時のピザ2枚の価格は25ドル(約2,500円)。つまり1ビットコインの価値は約0.25円だったことになります。この取引は、ビットコインで初めて実際のモノを購入した瞬間として、今でも「ビットコイン・ピザ・デー」として祝われているんですよ。ちなみに、その1万ビットコインは今の価格に換算すると数十億円という途方もない金額になっています。
その2ヶ月後の2010年7月には、待望の取引所「Mt.Gox(マウントゴックス)」がオープン。ここで初めて、一般の人々も自由にビットコインを売買できるようになりました。取引所開設時の価格は「1ビットコイン=約7円」。ピザ取引の時と比べても、わずか2ヶ月で価格が大きく上昇していたことがわかります。
価格急上昇と波乱の始まり
2011年に入ると、ビットコインの存在が徐々に世間に知られるようになってきました。アメリカの有名な『TIME』誌で特集が組まれたことで注目度が一気に上がり、価格も「1ビットコイン=約80円」にまで上昇したのです。
さらに2013年には、キプロスでの金融危機をきっかけに、多くの人々が法定通貨への不安からビットコインに資金を移し始めました。その結果、同年11月には1ビットコインが1,000ドル(当時の日本円で約14万円)を突破。最初の本格的な価格高騰を経験することになります。
ただし、この急激な上昇の裏では、価格の乱高下も激しくなっていきました。特に2014年には、当時世界最大だったMt.Gox取引所がハッキング被害に遭って閉鎖に追い込まれるという事件が発生。ビットコインの価格は大きく下落し、市場に大きな混乱をもたらしました。
このように、ビットコインの価格形成には数々のドラマがありました。たった0.07円からスタートし、ピザ2枚との交換を経て、今では何百万円もの価値を持つまでに成長したのです。現在でも価格の変動は大きいものの、「デジタルの金(ゴールド)」として、着実に地位を固めつつあると言えるでしょう。
まとめ
2009年に誕生したビットコインは、当初は価格すら存在しないデジタルデータでした。最初の価格となる0.07円が付いたのは誕生から9ヶ月後のこと。その後、伝説となった「ピザ取引」で0.25円、取引所開設で7円と、徐々に価値を上げていきました。
2011年以降は『TIME』誌での特集をきっかけに世間での認知度が上がり、2013年には1,000ドル(約14万円)を突破。Mt.Goxの閉鎖など、大きな波乱も経験しましたが、それらを乗り越えて、現在では「デジタルゴールド」としての地位を確立しつつあります。
0.07円からスタートしたビットコインの価格形成の歴史は、まさにデジタル時代における新しい価値の創造を象徴する出来事と言えるでしょう。